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爛れる月面
第1章 違う空を見ている
「ケチ社長が出前って珍しいですねぇ。あーあ、あのお菓子、休憩んとき食べようと思ってたのになー」
「……なんで私なのよ、もぉっ!」
「そりゃ、長谷さんのほうが見栄えするからですよ。チビでズンドーの私に比べたら、制服の似合いっぷり、エロさが違いますから」
「また、セクハラか。じゃ、光本さん喫茶店電話して。私、お菓子の用意するから」
「えーっ、私、言われてないです」
「ちょっとぉ……、それぐらい手伝ってよ」
「……はぁい」

 給湯室で小皿に載せた茶菓子を用意していると、程なくして近所の喫茶店から出前が来た。お盆に乗せて廊下を運び、応接室をノックをする。

「失礼します」

 眉間のシワを戻し、ドアの向こうに聞こえないように小さく咳払いをしてから、なるべく高い声を出すように心がけた。ハスキー気味な声音だけでも怒っているように聞こえかねないことは、自分でわかっている。それが容姿と相俟うと、不機嫌どころか威圧的にさえ映る。仏頂面などもってのほかだ。

 応接室には社長と、はるかに洗練されたスーツ姿の男が向かい合って机に資料を広げていた。男の隣は空席になっており、ソファに立てかけるようにビジネスバッグが置かれている。不在が何者かはわからないが、部屋の奥に座っているのだからと、まず最初にスーツの男の前、資料の邪魔にならない位置にコーヒーとお菓子を置いた。

「ありがとう」

 目を合わせず会釈だけして、空席にも置きつつ、社長と世間話をする男の声を聞いていた。低いながら通りの良い、紗友美がよく言う「イケボ」だ。社長の側に回ったついでに一瞥すると、中年だろうが何もかもが身揃え良く、蓄えられた髭も年齢なりの渋みを効かせている。ほらね、光本さんが来たほうがイイ男が見れたのに……、いや紗友美のことだから、無礼なまでにガン見しかねないな、もしやそこまで社長が読んでの人選だったのかも。

 そんなことを考えていると、視線を感じさせてしまったのか、男と目が合ってしまった。

「……いや、尾形さんのところにはこんな美しい社員さんがいて羨ましいかぎりですね。ウチは女性がまだまだ少なくて、事業としても、組織としても、これではいけないと、いつも上に言ってるんですが」
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