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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
「っていうか、私、自分の親くらいの歳の男にヤラれたんだ。それはそれでおかしくなりそう。そもそもあんた一体何の仕事してんの? マトモな仕事してるように見えないんだけど」
「人聞き悪いこと言わないでくれ。正真正銘、バドゥルの社員だよ」
「信じらんない」

 井上はジャケットの内ポケットから長財布を取り出すと、紅美子の膝の上に投げ置いた。

「不用心だね。私が悪い女ならパクるよ?」
 カードホルダーに全て英語記載のIDカードを見つける。「ヒ、ロ、ミ、イノ、ウエ……。あんた、ヒロミって名前なの!?」

 作為のない笑いが起こり、

「ウケる。似合わないし。何なの、その髭!」
「自分では名前は選べないからな。しかも、広く美しいで、広美、だ。子供の頃はバカにされたよ」
「私もバカにしていい? ヒロミちゃんって呼んであげる」
「死んだおふくろと同じ呼び方だ。懐かしい」
「もうちょっと恥かしがってよ、マザコン野郎が」
「ずっとこの名前で過ごしてりゃ、いまさらって感じだな」

 紅美子はカードを財布に戻し、ダッシュボードに投げ置いた。

「……で? ヒロミちゃんはこの大企業様で、何の仕事してんの?」
 笑った拍子に乱れてしまったスカートを摘み引いて整えつつ、「日本にたまに来て、零細企業のOL手籠めにする仕事?」
「若干近いね。M&A担当。つまり買収屋だ」
「てことは、買収されんだ、ウチの会社」
「インサイダー情報だから気をつけろよ? これで何か利益を得る奴が出たら、君がバラしたということになる」
「巻き込まないでよ。ウチなんか買収してイイ事あるんだ?」
「まあ、特許技術を持ってるしな。だが、それは欲しいんだが色々面倒なモノが引きずられてくる。そもそも日本の製造業は請負連鎖があまりにもヒドすぎる。何重にも請け負われて、それぞれの会社が一体いくらの利益を上乗せしてると思う? 君も伝票扱ってたらわかるだろ」
「難しい話しないで。別に派遣社員だから知ったこっちゃないわ」
「知ったことあるさ」
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