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爛れる月面
第3章 広がる沙漠
『ちょっと(笑) 続いてるのにチャットしてたらダメでしょ』
『はやくおわったら今日いこうとおもってたのに』

 がっくりと項垂れるスタンプ。

『明日でいいよ。今週何回か徹夜したんでしょ、しっかり寝て』

 そして数瞬、人差し指は逡巡をしたものの、

『それに今日、光本さんと飲みに行くことになった。なんか色々あるみたいだから、遅くなると思う』

 最後には送信ボタンに触れた。

『うん了解』
『明日、浅草に迎えに行くからね』
『うん』続けて、『はやくあいたい』

 もちろん、心が痛んだが、

『好きって言ってほしい?』
『うん』
『明日直接言ってあげる』
『ひどい』
 号泣のスタンプが送られてきた直後、『やばいあまり携帯さわってると』
『そっか、ごめん。明日ね』
『うん』

 そこまで続けて、深く息を吐いて携帯を伏せた。

「うまくウソをつけた?」

 井上の声は、元に戻っていた。車内の空気の重々しさも、薄らいでいた。

「もう最悪だ。バレたら絶対許してもらえない」
「徹くんが君を許さないなんてことあるのか?」
「怒らせたことないからわかんない」

 多摩川を渡っている窓外へ向け、オーバーに額に手を当ててみせたが、偽った罪悪感よりも、井上の機嫌が戻った安堵のほうが強かった。

「家はいいのか?」
「ママ? もうこの歳だもん、あんまりごちゃごちゃ言われたくない。ママだって連絡なしで帰ってこないこともあるし」

 東名が近づいて車線が増え、運転がしやすくなった井上は肘置きに凭れながら少し考えていたが、

「……君の母親は、徹くんと仲が良さそうだな。なんとなく」
「なんでわかるの? ママが徹のこと大好きだけど」
「君の母親が、帰ってこない娘は婚約者に会いに行ってるんじゃないかって、連絡を取ろうとする可能性は?」
「……。……へぇ、さすが場数がちがうんだね」
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