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シャイニーストッキング
第22章 ほつれるストッキング 1        佐々木ゆかり
 1 8月21日木曜日午後6時15分

 時系列は…
 第21章 もつれるストッキング5 美冴 
 2854ページ~ 
 2 帰社――からとなります。


 わたしと、蒼井美冴さん、越前屋朋美の三人は…
 ○△生命本社常務室で
『常務専属秘書 松下律子』
 との対峙を終え、コールセンター部のある西新宿へと向かうタクシーの車内にいた。
 
 そして、その帰途の車内で、わたしと、美冴さんの二人は…
 的外れな越前屋さんの言葉に大爆笑してしまい、いや、この大爆笑のおかげだろう…
 判明した、彼、大原浩一常務と、その秘書である松下律子との関係の衝撃と、絶望感、等々の…
 そんな心のモヤモヤが、どこかに吹き飛んだようであった。

 本当に、なぜか一瞬にして、スッと軽くなり…
 そして…
「そう、そうよねぇ…
 だから明日頑張ってアタックしてみたらぁ…」
 こんな軽口を言えた自分に、内心、驚いてしまっていた。

 あの愛しい彼の、間違いない浮気が判ってしまったのに…
 いや、もしかしたら、浮気なんて軽くはない…
 ううん、そんな軽い感じ、じゃなかったのに…
 そのくらいに、さっきの、あの対峙に於いて、激しい動揺と衝撃を受けたのに…

 なぜか、わたしは、今、スッと心が軽くなり、こんな軽口さえ、口にできた。

 これって、諦めなのだろうか?

 ううん、違う……はず………
 それは、きっと…
  そう、この越前屋さんの明るさに触れて、開き直れたのだと思う。

「えぇ、そんなぁ、アタックなんてぇ…」

「そうよ、もしかしたら…が、あるかもよぉ」
 そして、明るく、そう、からかう美冴さんの存在感もあり…
「もぉ、やめてくださいよぉ…」
 本当に、この越前屋さんの明るさには、助けられる。

 助けられているんだ………
 だけど、そうは思ってはいるんだけれど…
 もうひとつ…
 秘かに、心の奥底に蠢く、シコリみたいなナニかを感じてもいた。

 それは………
 
 この、彼の浮気、という事実の判明に、思った以上に、衝撃が少なく、そして『黒い女』と云われていた美冴さんに対して、以前抱いたような…
『嫉妬心』という、たぎるような強い想いが沸いてこない、ということに違和感を感じるのだ。
 
 そして、その違和感に、なんとなく、思い当たるフシが…
 
 タクシーが、到着した―――




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