この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
Memory of Night 2
第50章 episode of 0

急いで受け取った封筒から履歴書を取りだし、開いた。
「車の免許は……あります。結婚はしてないみたいですね。年齢は三二かな。あと……住所は……、あ、近いですね。ここから車で十分くらいの賃貸みたいです」
住んでるアパートも、こう言ってはなんだが古臭い名前だった。築ウン十年とかの昔からある建物な気がする。
「一人暮らし、ですかね、多分。ーーあ」
そこで秋広はある地名が目に入り、言葉を止めた。出身校の欄だ。
小学校も中学校も東北の県名が入っていた。
ここは関東だ。ずいぶん遠くから来たんだな、と驚く。
「どうかしたかね?」
「あ、いえ、すみません。彼女、出身は東北のようです」
「……へー。そんな方から」
さらに履歴書を辿る。進学や就職でこっちに来たわけでもなさそうだった。
「香椎さん、だっけ? どんな子だった?」
再度同じ質問をされる。彼女のプロフィールや経歴はわかった。今度は、秋広が面接をした時の、彼女への印象を教えてほしいという意味だろう。
「……とても美しい女性でした」
秋広は、真っ先に浮かんだ印象を告げる。
並外れた腕力や、横柄なもの言いも印象には残っていたが、それを伝えてもあまり彼女のプラスにはならないだろう。
だから、容姿についてのみ伝える。
わずかな間のあと、受話器越しに盛大な笑い声が聞こえた。

