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Memory of Night 2
第46章 想い人

「ーー宵、桃華さんはね」

 宵は昔から、秋広が桃華の話をする時の幸せそうな顔が好きだった。
 桃華の夜は帰りが遅い。土木関係の仕事をしている彼女は、家から離れた遠くの現場が多かった。平日は宵が眠った後に帰ってくる頻度の方が高い。
 だから、いつも眠る時そばに居てくれるのは秋広だった。布団の上から宵のお腹の辺りをトン、トン、とリズミカルに叩きながら、ゆったりとした優しい声で、昔話を聞かせてくれる。まるで子守唄みたいに。
 それは大概が絵本や童話ではなく、宵の母である桃華の話だった。
 出会って、付き合って、結婚して、宵を産んで。桃華と過ごしてきた日々の全てを、秋広は嬉しそうに宵に聞かせてくれた。

「……それ前も言ってたよ」
「えー、そうだったかな?」

 同じエピソードを繰り返し聞かされることも少なくない。それを指摘すると、秋広はいつもはにかむように笑うのだった。

「ごめんごめん。何度だって話したくなっちゃうんだ」

 もさっとした頭をかきながら、秋広はまた笑った。
 ーーパパはママが大好きでたまらないんだろう。それは幼い宵にもよくわかった。桃華の話をする時も、桃華と顔を合わせる時も、秋広の目にはいつも愛情が溢れていた。
 宵が見てきた限り、二人が死ぬ間際までそれは変わらないように見えた。
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