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飛べないあの子
第5章 EpisodeⅤ
凛は何のことかわからず、でも、ちゃんとはっきりと自分の気持ちも伝えたかったので、慧の頬を両手で挟んで顔から離した。

「ちゃんと・・・・・ちゃんと好きだから・・・・・・・。私も」
「・・・・・・・・・・」

慧は凛の目をじっと見つめた。

「・・・・・・もう一度、言って」

慧の声がかすれている。
凛も慧の目をじっと見つめ返した。
心の中で、慧への想いを確認する。
そのままの気持ちを言った。

「好き」

慧が目を細めて、苦しそうな顔をした。

慧はしばらく何も言わずに凛を力強く抱きしめた。
慧の体の重みが、安心感を与える。
凛は腕を慧の背中にまわした。

慧の腕の方が明らかに長くて包み込まれているのに、何故か自分が慧の体を丸ごと包み込んでいるような気持ちになる。
慧は良く凛のことを抱きしめるが、おそらくそれは抱きしめて欲しいという気持ちからきているのだと気が付いた。

(かわいい・・・・・・・)

慧の愛おしさを感じて、やっぱり会いにきて良かったなぁと思った。

慧が腕の力を緩めて凛の首筋にキスする。
ゾクっとして慧の唇から逃げるように体をずらした。

「・・・・・・西辻くん、お願いだからシャワー浴びさせて。それと・・・・・・・」

ぐ~~・・・・・・・

凛のお腹が鳴った。

「お腹・・・・・すいた・・・・」
「・・・・・・・・・」

慧が唖然とした表情で凛を見つめている間にもう一度お腹が鳴った。
慧が肩を震わせて笑い始める。

「だ、だって・・・・・・!中華一口も食べずに電車に飛び乗ったから・・・・・」

慧は起き上がると、腕を引いて凛の体を起こした。
少年のような可愛らしい笑顔だった。

「ごめんね。高級中華を蹴ってまで来てくれてありがとう」

そう言って、チュっと凛にキスして立ち上がった。

「誰かがピザ頼んだから、それ食べる?」
「いいの・・・・・・?」
「いいよ。もうすぐ届くと思うけど、先にシャワー浴びる?」
「うん・・・・・・!」

凛はバッグを持って慧のあとに続いた。
湯船にお湯を張るかと聞かれてシャワーで良いと断る。ゆっくり湯船につかれるほど気持ちに余裕がなかった。
バスルームでタオルを渡されて気が付く。

「あ・・・・・・・。パジャマがない」

実家には凛のパジャマが置いてあるから、帰省の荷物の中には入れなかった。

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