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第25章 危険な誘惑（2）

待ち合わせ場所から30mほど離れた位置で佐藤洋太は慌てて立ち止まり、違う方向を向いてスマホをポケットからスマホを取り出す。


もう一度チラリとその方向を見る。
少し俯き気味にスマホを見つめる女性のファッションを見ると急に心臓がバクバクと高鳴る。


マッチングアプリでマッチングした女子とメールで１週間ほどやり取りを重ねて今日会うことになったのだ。


マッチングアプリに登録させているプロフィール画像はそれなりに可愛らしい印象で正直当たりだと思った。
だが多くの場合一番盛れている画像が使われていることが多く、近年では修正が当たり前になっているので、洋太はだいたい写真に対して実物は6・7割程度だろうなと思うようにしていた。


寧ろ全く別人の写真が使われていない事だけでありがたい。それくらいの心持ちで臨まないと、もし期待以下だった時にお互いにとって苦しいデートになる。
今回も期待値を最小限に落として洋太は彼女と会うことにしたのだ。


メッセージでは会うときの目印としてお互いのファッションについて連絡し合っていた。
何人かの女性が待ち合わせなのか、単独で壁を背にして佇んでいた。その中にメッセージでやり取りした服装と合致する人物がいた。


彼女は明らかに異彩を放っていた。
彼女の前を横切る男達がチラチラと彼女の方を見ている。小顔で手足が長く、立ち姿が綺麗で色白だからか発光して見える。
そのファッションは体型にピッタリと合っていて、洗練されたものを感じる。


もし待ち合わせの相手が彼女だとしたら、、、
洋太は自分のファッションに急に自信がなくなってしまった。
実物の彼女は写真の6・7割どころか何倍も美人だったのだ。


洋太はスマホを鏡にしてセットした髪に乱れが無いか確認すると、意を決してゆっくりと彼女の方へと歩みを進めた。


だんだんと視界の中の彼女が大きくなっていく。
顔もはっきりと確認できる距離になっても、彼女はまだスマホを見つめていて気づかない。
近くで見てもやはり、ものすごく美人だ。


洋太がドキドキしながら3mくらいの距離まで近づく。

洋太「あ、あの、佑奈ちゃん・・・ですか？」

目の前の美人はゆっくりとスマホから視線を上げると、一瞬真顔で洋太の顔を見る。あまりにも美しい瞳に吸い込まれそうになる。