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喪服奴隷・七菜
第10章 奴隷宣言
廊下を出て、右のドアを開けると寝室だった。部屋の照明をつける。
シングルベッドとツインベッドが並べて置かれており
併せるとキングサイズのダブルベッドより広い。
省吾はすべての服を脱ぎ去ると、壁際の枕に頭をのせて横たわる。
シックなベージュ色の壁、ベッドの反対側には衣裳棚とウォーキングクローゼットが見える。
そこには隆の背広もかけられていた。
タバコを吸い終わると、リビングから持ってきた灰皿に圧し潰す。
たしか隆はタバコは喫わなかったから、寝室には灰皿もないだろう。
俺みたいにそこらへんに服を脱ぎ捨てることもなかったろう。
ベッドに大の字になって寝転がりながら、ふとそんなことを思う。

ウトウトしかけたところで、ドアの前に七菜が立っていることに気がつく。
素肌に赤いナイトウェアーを身に纏っている。
七菜の目が真剣だ。
『ご主人様、この部屋だけはご勘弁ください。
ほかの部屋ならどこで何をされようとも構いません。どうかお許しください』
その場に正座して頭を下げる。
夫婦の寝室に他の男を引き入れるというのは、やはり罪悪感が半端ないようだ。

省吾はベッドから起き上がると
「七菜、さっき俺の言うことには何でも従うと誓ったよな?」
『はい・・・誓いました』
「俺の奴隷になると誓ったよな?  あれは嘘だったのか?」
たとえ強制的に言わされたことであっても、口に出したのは事実なのだ。
『ウソではありません。・・・ですが』七菜がうなだれる。
「もしどうしても、俺がこの部屋でお前を抱きたいと言ったらどうする?」
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