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哀色夜伽草紙
第10章 外へ出た籠の鳥

それから、省吾とは平日はお互いの家でご飯を作って食べたり、休日はどこかへ出かけてそのまま泊まるという関係になり、3ヶ月が過ぎた。
最近では会社に近い私の家でほぼ一緒に暮らしていた。
はじめは夜中にまだ寂しくて泣いた事も一度や二度じゃなかったけれど、それでも省吾は私を慰めながら抱きしめてくれた。
その度に癒やされて徐々に壱くんが居ない生活に慣れていき、反比例して私の生活に省吾の存在が染み込んでいった。
利用しようとしたのに、今では省吾から離れられなくなっていた。
当然のように壱くんからも連絡はないし、私も連絡はしなかった。
これでよかったんだと思い始めた矢先、伯母が元山さんを連れて家にやって来た。
「琴莉!あなた壱をどこに隠したの!」
「え……何?」
伯母の剣幕に驚いて仰け反ると、元山さんが私に掴みかかってきた。
「あなたが隠したんでしょ?分かってるから出しなさいよ!」
何の事だか分からずにオロオロとしていると、省吾が会社から帰ってきた。
「ただいま。琴莉、何?この人たちって元山さんじゃないですか」
「うん、あの、壱くんを出せって言われて」
よく分からなくてそのまま伝えると省吾は眉を顰めた。
「は?あんなやつここには居ないけど?」
そう言い捨てるとそのまま伯母を睨むように見て玄関を上がってきた。
そして私の腰をだいて引き寄せると首筋にキスをした。
「琴莉は僕と生活してます、長谷川さんとはもう全く会ってないですよ」
すると元山さんが髪を振り乱して叫んだ。
「嘘よ!あの人言ってたもの、元に戻るって!それから帰ってこないのよ家も引き払って!」
「……まさか壱くん居なくなったんですか?」
「白々しい、そうよ、どこにも居ないのよ!」
何処に戻ると言うのだろう。
最近では会社に近い私の家でほぼ一緒に暮らしていた。
はじめは夜中にまだ寂しくて泣いた事も一度や二度じゃなかったけれど、それでも省吾は私を慰めながら抱きしめてくれた。
その度に癒やされて徐々に壱くんが居ない生活に慣れていき、反比例して私の生活に省吾の存在が染み込んでいった。
利用しようとしたのに、今では省吾から離れられなくなっていた。
当然のように壱くんからも連絡はないし、私も連絡はしなかった。
これでよかったんだと思い始めた矢先、伯母が元山さんを連れて家にやって来た。
「琴莉!あなた壱をどこに隠したの!」
「え……何?」
伯母の剣幕に驚いて仰け反ると、元山さんが私に掴みかかってきた。
「あなたが隠したんでしょ?分かってるから出しなさいよ!」
何の事だか分からずにオロオロとしていると、省吾が会社から帰ってきた。
「ただいま。琴莉、何?この人たちって元山さんじゃないですか」
「うん、あの、壱くんを出せって言われて」
よく分からなくてそのまま伝えると省吾は眉を顰めた。
「は?あんなやつここには居ないけど?」
そう言い捨てるとそのまま伯母を睨むように見て玄関を上がってきた。
そして私の腰をだいて引き寄せると首筋にキスをした。
「琴莉は僕と生活してます、長谷川さんとはもう全く会ってないですよ」
すると元山さんが髪を振り乱して叫んだ。
「嘘よ!あの人言ってたもの、元に戻るって!それから帰ってこないのよ家も引き払って!」
「……まさか壱くん居なくなったんですか?」
「白々しい、そうよ、どこにも居ないのよ!」
何処に戻ると言うのだろう。

