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哀色夜伽草紙
第6章 怖がりのキミ

「本当に大丈夫?」
「大丈夫よ、子どもじゃないんだから」
壱くんがとても心配そうに私の荷物を持ってパーキングから駅まで歩く。
私が出張だと言ったら送っていくと聞かず、空港まではいいからと伝えると、空港行きの電車が出る乗り換えの少し大きな駅まで送ってきてくれた。
「私だって社会人よ?平気」
「だけど熱出したばっかりだろ?それも心配してんだよ」
確かに熱を出したばかりだけど、もうすっかり元気なのだからそんなに心配しないで欲しい。
「壱くんがついててくれたからもう治ったよ?ありがとうね」
「それはよかったけど……ちゃんとホテルでは施錠するんだぞ?一応薬は持ったか?あ、オレの写真持ってくか?」
壱くんがボストンバッグの中に何処から持っていたのか自分の写真を入れようとするので、その手を止めた。
「有り難う、でも本当に大丈夫よ?一人で大丈夫だから」
そう言っても不満そうな壱くんを見て、周りに人が居ないことを確認して、ビルの影で首に手を回してから素早く口づける。
すると、離れようとした私を腰から引き寄せて、唇を何度も食むように吸い付いてきた。
「ん……」
「…ぁ…琴莉……オレが寂しくて耐えられないかもしれない……」
唇を離れ、目許や鼻先、頬……あらゆるところに口づけていく。
「いつも締め切り前だって会わないでしょ?」
「そうだけど……心配だ」
「大丈夫よ?井坂課長も居るし」
信頼している人が居るのだから任せて?と伝えると
「わかってる」
壱くんがやっと私を離した。
そのときにはあちこちに口づけられていたので、化粧は取れてそうだななどと思ってしまった。
「たった1泊!真っ直ぐに壱くんの所に帰ってくるから」
「うん、気をつけて」
二度と会えなくなるわけではないのに壱くんは私と離れることを嫌がる。そして、最近特にその傾向が強い気がする。
やっとのことで電車に乗ってホッと一息つく。時計を見ると、時間には余裕があるが予定より遅れていた。
空港には早めに着いておきたいのに、中々離してくれなかったからだ。
「大丈夫よ、子どもじゃないんだから」
壱くんがとても心配そうに私の荷物を持ってパーキングから駅まで歩く。
私が出張だと言ったら送っていくと聞かず、空港まではいいからと伝えると、空港行きの電車が出る乗り換えの少し大きな駅まで送ってきてくれた。
「私だって社会人よ?平気」
「だけど熱出したばっかりだろ?それも心配してんだよ」
確かに熱を出したばかりだけど、もうすっかり元気なのだからそんなに心配しないで欲しい。
「壱くんがついててくれたからもう治ったよ?ありがとうね」
「それはよかったけど……ちゃんとホテルでは施錠するんだぞ?一応薬は持ったか?あ、オレの写真持ってくか?」
壱くんがボストンバッグの中に何処から持っていたのか自分の写真を入れようとするので、その手を止めた。
「有り難う、でも本当に大丈夫よ?一人で大丈夫だから」
そう言っても不満そうな壱くんを見て、周りに人が居ないことを確認して、ビルの影で首に手を回してから素早く口づける。
すると、離れようとした私を腰から引き寄せて、唇を何度も食むように吸い付いてきた。
「ん……」
「…ぁ…琴莉……オレが寂しくて耐えられないかもしれない……」
唇を離れ、目許や鼻先、頬……あらゆるところに口づけていく。
「いつも締め切り前だって会わないでしょ?」
「そうだけど……心配だ」
「大丈夫よ?井坂課長も居るし」
信頼している人が居るのだから任せて?と伝えると
「わかってる」
壱くんがやっと私を離した。
そのときにはあちこちに口づけられていたので、化粧は取れてそうだななどと思ってしまった。
「たった1泊!真っ直ぐに壱くんの所に帰ってくるから」
「うん、気をつけて」
二度と会えなくなるわけではないのに壱くんは私と離れることを嫌がる。そして、最近特にその傾向が強い気がする。
やっとのことで電車に乗ってホッと一息つく。時計を見ると、時間には余裕があるが予定より遅れていた。
空港には早めに着いておきたいのに、中々離してくれなかったからだ。

