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哀色夜伽草紙
第6章 怖がりのキミ
サラリと前髪が上がって額に何か温かいものが触れた気がした。

(……?)

「あなたを必ず……」

(必ず?)

柔らかい声が耳から入って、力が入らない身体がふわりと浮き上がった感覚がした。

「じゃあ頼むな、羽田」

「はい」

この声は羽田くん?そして……井坂課長?

声だけ聞こえたが、意識を保っていられず、そのまま眠りに引き摺り込まれた。



気付いた時は目の前に羽田くん頭があって……場所は壱くんの家の前だった。

「気が付きましたか?」

「あ、うん……え?ごめんなさい」

謝ったのはおぶわれていたからだ。

「さっき長谷川さんと連絡取れたのでこちらにお送りしました。鍵は……お持ちですよね」

「あ、う……ん……カバンの前ポケットで……」

力が入らずにそこまで言うと、羽田くんが器用にカバンから鍵を取り出した。

「じゃ開けます」

鍵で扉を開けて中に入り、ソファに下ろしてくれた。

「ありがとう、あの、ごめんね……仕事途中だったでしょ?」

「大丈夫です。戻ってやりますから、ゆっくり休んでください」


「琴莉さん……」

羽田くんはとても優しい目で私を見下ろしていた。ぼんやりとした視界の中でその柔らかな視線と交われば優しい気持ちが流れ込んできて、トクンと胸が鳴った。

そのまま彼が膝まづいて指で私の頬を撫でたその時……

「琴莉!」

扉が開く音がして壱くんが飛び込んできて羽田くんが立ち上がる。

「壱くん!」

姿を見せた壱くんにホッとして抱きつこうと身体を起こそうとすると、力が入らずにその場に倒れてしまいすぐに壱くんが抱き上げソファに戻した。

「大丈夫か」

「ん……」

抱きつくと壱くんの香りがして気持ちが緩む。

(落ち着く……)


羽田くんがジッと無言でこちらを見ていたが、頭を下げた。

「では帰りますね」

「送ってくれてありがとうこざいます、えっと……」

「羽田です」

「羽田さん」

壱くんが私の頭を撫でると離れて、羽田くんを見送ろうと私に背を向けた。

壱くんが私を撫でた瞬間、羽田くんが
とても怖い顔で壱くんを睨んでいたのが見えた……

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