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哀色夜伽草紙
第4章 2人のカンケイ

コツコツと通路を歩く二人の足音が響く。
背がそこまで高くない羽田くんと、背の高めの私ではほぼ目線が一緒で近くを歩いていると目が合う気がして何となく気恥ずかしくなってしまう。
昨夜のことがあって、私が勝手に意識し過ぎなんだとは思うけれど……
資料室に来て鍵を開けると先にファイルを抱えた羽田くんを中に入れた。
一応、ドアは開いておこう。そう考えてトビラは閉めずに後ろから中へ入る。
「奥の青い棚の2009年ってラベルのところなの」
「コレですか?」
先を歩く羽田くんが指差したのはまだ手前で、もう少し奥を指差した。
でも分からないのか、首を捻っていたので追い越して先に棚へ誘導した。
「ううん、もう少し先のね……」
その時、棚の前にあった何かに足を取られて膝が折れ、パンプスが脱げて前に倒れそうになった。
「きゃっ」
前の棚にぶつかるのを覚悟して手を突き出したら、感触はなく、別の場所……お腹のあたりを押さえられているのに気付く。
「危ないなぁ……」
見れば羽田くんが片手で私のウエスト当たりを抱くように押さえてくれていた。
「ご、ごめんなさい……ありがとう」
痛くなくてよかった、とホッとして離れようとすると……そのままグイッと身体が持ち上がった。
(えっ……)
「無防備だよね、あなたは……」
気づけばファイルを投げ出した羽田くんが私を後ろから抱きしめていた。
「も、もう大丈夫だから……離して」
わかっていた。支えようとしたのは咄嗟の行動だったかもしれないが、これは明らかに……羽田くんが意思を持って私を抱きしめている。
でもその事に触れずに離してほしかった。
怖いと思いたくなかったから……
背がそこまで高くない羽田くんと、背の高めの私ではほぼ目線が一緒で近くを歩いていると目が合う気がして何となく気恥ずかしくなってしまう。
昨夜のことがあって、私が勝手に意識し過ぎなんだとは思うけれど……
資料室に来て鍵を開けると先にファイルを抱えた羽田くんを中に入れた。
一応、ドアは開いておこう。そう考えてトビラは閉めずに後ろから中へ入る。
「奥の青い棚の2009年ってラベルのところなの」
「コレですか?」
先を歩く羽田くんが指差したのはまだ手前で、もう少し奥を指差した。
でも分からないのか、首を捻っていたので追い越して先に棚へ誘導した。
「ううん、もう少し先のね……」
その時、棚の前にあった何かに足を取られて膝が折れ、パンプスが脱げて前に倒れそうになった。
「きゃっ」
前の棚にぶつかるのを覚悟して手を突き出したら、感触はなく、別の場所……お腹のあたりを押さえられているのに気付く。
「危ないなぁ……」
見れば羽田くんが片手で私のウエスト当たりを抱くように押さえてくれていた。
「ご、ごめんなさい……ありがとう」
痛くなくてよかった、とホッとして離れようとすると……そのままグイッと身体が持ち上がった。
(えっ……)
「無防備だよね、あなたは……」
気づけばファイルを投げ出した羽田くんが私を後ろから抱きしめていた。
「も、もう大丈夫だから……離して」
わかっていた。支えようとしたのは咄嗟の行動だったかもしれないが、これは明らかに……羽田くんが意思を持って私を抱きしめている。
でもその事に触れずに離してほしかった。
怖いと思いたくなかったから……

