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哀色夜伽草紙
第12章 アナタと生きたい

気がつくと、浴衣は脱がされ身体を拭いてあったのか、しっかりと服を着て病院のベッドに横たわっていた。
傍らの椅子には壱くんが座って目を閉じていた。不安になって声をかけると
「壱くん」
パチリと壱くんの目が開いた。
「起きた?じゃあ帰ろうか。検査も異常なかったし、ドクターも問題ないから帰っていいってさ、荷物はまとめてあるから」
まるで何事もなかったかのように手を繋いで壱くんは微笑んでいる。
あの二人に抱かれた狂乱の出来事は夢だったのだろうかと思えてしまうほど穏やかだ。
けれど身体のあちこちがギシギシと音を立てて、それがあの行為が夢ではなかったことを物語っている。
私の戸惑いをよそに、壱くんが嬉しそうに言った。
「新しい家決めてあるんだ。二人で住めるようにでっかいベッドも入れたし、琴莉の部屋もあるよ。家で仕事もできる。イラストも描けるようにね」
「え?」
一緒に住むって……壱くんは元山さんと結婚するのに?
「ま、いいからいいから…」
わからないまま、促されてタクシーに乗り込み、走り出すと道が今までの壱くんこ家の方ではない場所へ車が回る。
タクシーが横付けしたのは、省吾のマンションにも似ているが、噴水がある大きな木が屹立する公園の横に出来た新しい低層の立派なマンションだった。
「え、ここ?」
「うん。便利な場所だしセキリュティがしっかりしてるから。低層で移動もしやすいしね」
壱くんは私の手を繋ぎ建物の中に誘った。広いエントランスを抜けて1階の奥の部屋へ進む。門扉が設けられていて玄関前も広い。
「1階?」
「うん。ここの一階角部屋で広い部屋だし、庭が付いてるのが気に入ったから。さぁ、入って」
部屋に入るとリビングは南側の窓が大きく開いて、広い庭が見えて入る。
いくつか部屋があるのは廊下の感じでわかったし、どう見ても一人や二人で住む感じではなく、家族で住む広さだった。
「ここに住むの?壱くん……」
「うん。何かおかしい?」
鍵をキーボックスに仕舞って、こちらを振り向いた壱くんは私の腰に手を回した。
私の戸惑いを分かっていて壱くんがはぐらかしているのはわかってる
傍らの椅子には壱くんが座って目を閉じていた。不安になって声をかけると
「壱くん」
パチリと壱くんの目が開いた。
「起きた?じゃあ帰ろうか。検査も異常なかったし、ドクターも問題ないから帰っていいってさ、荷物はまとめてあるから」
まるで何事もなかったかのように手を繋いで壱くんは微笑んでいる。
あの二人に抱かれた狂乱の出来事は夢だったのだろうかと思えてしまうほど穏やかだ。
けれど身体のあちこちがギシギシと音を立てて、それがあの行為が夢ではなかったことを物語っている。
私の戸惑いをよそに、壱くんが嬉しそうに言った。
「新しい家決めてあるんだ。二人で住めるようにでっかいベッドも入れたし、琴莉の部屋もあるよ。家で仕事もできる。イラストも描けるようにね」
「え?」
一緒に住むって……壱くんは元山さんと結婚するのに?
「ま、いいからいいから…」
わからないまま、促されてタクシーに乗り込み、走り出すと道が今までの壱くんこ家の方ではない場所へ車が回る。
タクシーが横付けしたのは、省吾のマンションにも似ているが、噴水がある大きな木が屹立する公園の横に出来た新しい低層の立派なマンションだった。
「え、ここ?」
「うん。便利な場所だしセキリュティがしっかりしてるから。低層で移動もしやすいしね」
壱くんは私の手を繋ぎ建物の中に誘った。広いエントランスを抜けて1階の奥の部屋へ進む。門扉が設けられていて玄関前も広い。
「1階?」
「うん。ここの一階角部屋で広い部屋だし、庭が付いてるのが気に入ったから。さぁ、入って」
部屋に入るとリビングは南側の窓が大きく開いて、広い庭が見えて入る。
いくつか部屋があるのは廊下の感じでわかったし、どう見ても一人や二人で住む感じではなく、家族で住む広さだった。
「ここに住むの?壱くん……」
「うん。何かおかしい?」
鍵をキーボックスに仕舞って、こちらを振り向いた壱くんは私の腰に手を回した。
私の戸惑いを分かっていて壱くんがはぐらかしているのはわかってる

