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累(かさね)
第1章 累(かさね)
「課長…」
「(過度にやさしい声で)どうしたのかなぁ?」
「(ものすごく弱々しい声で)あの~…ひ、非常に言いにくいお話でございますが~」
「(過度にやさしい声で)ああ、きのう慶彦さんに渡した転籍の手続きの書面のことだね…あれは3月いっぱいまでに持ってきてくれたらワシが手続きを取るから…」
「(ものすごく弱々しい声で)いえ…そうじゃなくてぇ~」
「(過度にやさしい声で)どうしたのかなぁ…ワシに話しがあるのかなぁ~」
「(ものすごく弱々しい声で)あると言えばあるのですが~」

困った…

どないしょー…

このままだと…

課長になめられてしまう…

慶彦は、ものすごく弱り切った表情を浮かべながら上司の男性に話を切り出して行きました。

「(弱り切った表情で)課長…実は…その…やっぱりやめておきます。」

上司の男性は、慶彦に対して過度にやさしい声で言いました。

「どうしたのかなぁ慶彦さん…ワシはなにを聞いても怒らんけん大丈夫だよ。」
「ホンマに怒らないのですか?」
「ワシは慶彦さんの気持ちはよくわかるから、慶彦さんがなにを言うても怒らないから…ワシにどんなお話しがあるのかなぁ~」

慶彦は、上司の男性に義久夫婦から別の事業所へ転籍する話しがあることを伝えていました。
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