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第1章 累（かさね）

「あの～…おとついの晩に…課長から勧められた話をおじ夫婦にしようとしていたら…おじ夫婦が『今の職場よりもものすごくいい条件が整っている事業所がみつかったから…』と言うて手続き取っておいたからと言われたのです…」
「（のんきな声で）はっ？」
「（あせり声で）課長!!話をきちんと聞いてください!!」
「（ニコニコ顔で両手を合わせながら言う）ああ、すまん…こらえてーな…」
「（ますますあせった声で）課長!!おとついの晩におじ夫婦から元塚の方に今の職場よりもものすごく待遇面がいい職場がみつかったから、４月１日からすぐに働くことができるようにしてあげたから心配しられんと言われたのですよ!!課長!!それ聞いてなんとも想わないのですか!!」
「（のんきな声で）なんとも想わないのですかって？」
「（ますますイラついた声で）ですから!!課長は大阪府の工場に転籍することを決めているのにおじ夫婦が別の事業所に転籍する手続きを取ってしまったと言うことを聞いたらフツーは『なんでワシのしらんところで勝手に話を進めたのだ!!オドレはゼツエンじゃ!!』と言うて怒鳴りつけるのがフツーなんですよ!!」

上司の男性は、慶彦の話をひととおり聞いたあと過度にやさしい声で『おじさまのポン引きにだまされているのじゃないのかな～』と言うてから慶彦に『そんな都合のよすぎる事業所がどこにあるのだか…』と言いました。