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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus
「郁哉さんとは風子のことで色々あったけど……。
友達だから信じようと思って」
その言葉を聞いてチクッと胸が苦しくなった。
やはり、郁哉さんが私を押さえつけたことをソラ先輩に話すわけにはいかない。
嫉妬するほど嫌な気持ちはあるけど、信じたい気持ちもある。
それがどれだけ複雑なものか、想像すると申し訳ない気持ちになる。
颯太さんと別れたあとも似たようなことがあった。
ソラ先輩の従兄弟である颯太さんは、ソラ先輩に負けたくなかった。
勝つためにしたのは、ソラ先輩の初恋相手だった私を奪うことだった。
一方、ソラ先輩は颯太さんのことを兄のように思っていた。
裏切られても困っている時に見捨てずに助けて、信じて……。
ソラ先輩は、私には真似できないほど強い心を持っている。
優しいこと、頼りになるところ、勉強ができること、どんなに疲れている日でも真っ直ぐに向き合ってくれること……。
他にもたくさんあるけれど、心から尊敬している。
「私はソラ先輩と課長の友情を一歩下がったところから見守っていますね。
あと、やっぱりまだ仕事を続けてみようと思います」
「応援するよ」
ソラ先輩は笑顔で答えてくれた。だけど、心から笑っているように見えない。
「でも、辞める覚悟もしておきます。ソラ先輩の方が大切ですから」

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