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愛おしいキミに極甘な林檎を
第65章 番外編:Totus tuus
私は自分の両手をソラ先輩の手の上に重ねた。
少しだけ緊張するけど、目を合わせてから口を開く。
「仕事のことです。ソラ先輩が嫌だったら、異動をお願いするか退職するのもありかなって思いまして。
そうすれば、課長と会う機会は減るはずですし……。
今日みたいなことは起こらないと思います」
「つまり、郁哉さんと縁を切ってもいいってこと?」
私の心の中を覗くようにソラ先輩が見つめてくる。
就職してから優しくしてもらったこと、つらい時に助けてもらったこと、愛されたこと……。
忘れられないことがいっぱいあるけど、誰か一人を選ばないといけない。
それに、もう決めたことだから一切迷いはなかった。
「私は……、ソラ先輩を選びましたから。
愛する人の気持ちを優先したいんです。
ソラ先輩も私のことを一番に考えてくれていますよね」
「もちろん。俺にとって風子は人生で最も大切な人だから。
でも、せっかくやりたい仕事に就いたのに辞めていいのかい?」
「…………」
郁哉さんのことははっきりと決めていたけど、仕事のことはまだ決断できない。
俯くと、ソラ先輩が私の手を両手で包んでくれた。
「辞めてもいいんだよ」
「えっ……」
意外な答えが返ってきて一瞬だけ思考が停止する。
「お金に困らないように俺が仕事を頑張るから。
風子は傍にいてくれるだけでいい。その方が安心かな」
「ほっ、本気で言ってるんですか!?」

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