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愛おしいキミに極甘な林檎を
第62章 愛おしいあなたに……

「申し訳ありません。今すぐやり直しますので」
「……まったく。もうすぐ結婚式があるから浮かれてるんじゃない?」
間違えてしまった印刷物と資料を持って再びコピー機へ向かおうとした時に聞こえた小さな話し声。
私に聞こえないように他の同僚に話したんだろうけどしっかりと聞こえた。
それでも耳に届いていないフリをして頼まれた仕事をやり直す。
指示されたとおりのことをしたはずなのに何が悪かったんだろう……。
また間違えてしまうのが怖くて、スタートボタンを押す指先に思ったように力が入らない。
「大丈夫か?あんなの気にするなって。女なんだから自分の結婚式が楽しみに決まってるよな。
ウエディングドレスを着れるんだから浮かれていいんだって」
潮崎さんがやって来て代わりにスタートボタンを押してくれて印刷が開始された。
その後も嫌な顔をせずフォローしてくれたけど、私があまりにも間違うことばかりで足を引っ張ってばかりだった。

