この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
愛おしいキミに極甘な林檎を
第61章 真実の愛と花嫁の決意

「新くんが…とっても…悲しい目を…しているから……」
雪のように無機質で冷たい瞳。
でもその奥には私たちと同じ、希望の光を見ている人間らしさも隠れている気がした。
新くんは今までひとつのことに向かって頑張ってきたことを救われたかった。
憎む気持ちは複雑だけど、核心は単純のように思える。
火ノ浦さんから聞いた話と見下ろしてくる悲しい瞳からそう感じた。
でもその事を否定するように新くんは片手で私の首を締めてくる。
「っ……、ううっ……」
「優しい目を向けてもボクは容赦しませんよ……。お姉さんがボクに拐われたことも分からないでしょうし、誰も助けに来ません」
限界に達する前に放されてゆっくり大きく息をする。
容赦しないと言いつつ、本気で締めていないんだから甘い人だ。
「私が…どうしていなくなったのか…知っていると思います……。だから…必ず迎えに来ますよ……。必ず……」

