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愛おしいキミに極甘な林檎を
第58章 初恋の人

「うん。もうすぐ結婚するから他の男と遊んでいる暇はないの」
「マリッジブルーにならないのかよ……。それに窮屈なところに嫁に行くんだろ!?
金持ちとは価値観が合わなくて大変だからやめとけって!」
仕事で使っているノートパソコンではなく、それを放棄して私の方に視線を向けてくる潮崎さん。
また触れられては困るから、距離を取ったまま机の上に散らばっていた資料を寄せ集めてからトントンッと音を立てて揃えた。
「私の婚約者、カッコ良くてとってもいい人でしょ?」
「確かにイケメンだけど……。外見だけで決めたのかよ。だから性格が悪そうなんだな」
「そう思う人もいるけど、本当は優しくて心が広い人だから。……誰も越えられないほど私のことを愛してくれているの」
わざと惚気けてみせると今度は潮崎さんの方がムスッとして呆れた顔をしてくる。
「愛人の課長でも越えられないわけ?」

