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愛おしいキミに極甘な林檎を
第55章 届かぬ愛の裏切り



「ああ……。分かった。気をつけて帰ってくれ」


詳しく話さなくてもなんとか伝わったようでホッとする。


「えっ、なにが早いの?何のこと?」


私と課長の方を交互に見てくる潮崎さんは不思議そうな顔をしていたけど面倒なので無視した。


デスクの上に置いておいたバッグを持ってさっさと二人の前を後にする。


「潮崎も仕事が終わったなら帰るんだ。それにタイムカードはもう押したのか?昨日、忘れていただろう――――」



手の掛かる新人を課長に任せ、私は会社の外で待たせているソラ先輩の元へと向かった。


今日も雪が降っているから待たせていられない。



会社の玄関を出てから周囲を見渡すと、見慣れている無地の紺色の傘を差して近くで待っていてくれた。


嬉しくて小走りで向かうとすぐに気づいてもらえてソラ先輩も私の方へ歩いてくる。



「ソラせんぱーい!お待たせしました。迎えに来てくれてありがとうございます」


「お疲れ様。雪の上を走って滑って転んだら危ないよ。普段よりずっと体を大事にしないと」


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