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蜜会
第4章 満たされる
 そうして車を琵琶湖沿いに走らせ、ちょっとした城跡の見学やおいしいものを探して出かけることにしたのだけど、私は就職でここに来てまだ四年未満だから知らない名所もあったので「これは隠れたデートだ」という意識は薄く、ただドライブを楽しめた。

 前に「義樹って呼ぶね」と言ったものの、実際に目を見て名前を呼ぶのはまだ照れるので結局「安宅さん」って呼んでいたから、運転している義樹を名前で呼んでみた。


「よーしーき」

「なぁに、るりー」


 照れくさくて目を逸らしたら、人差し指で頬をつつかれた。


「これじゃ私たち、バカップルみたい」

「いいじゃないか」


 愉快そうにコーヒーを飲んでハンドルを握る義樹は、最初は雰囲気がお兄さんのようだなと思ったんだけど、やっぱり根底にあるものはお父さんだなぁと何度か会って肌も重ねて感じる。

 そんなことを考えていたらいきなり変なことを言い出した。


「下の娘がさ」

「うん」

「生理が始まったもんだから、もうパパとはお風呂に入ってくれないんだ」

「へぇ!」


 そういえば私も子供の頃そうだったなぁと思うけど、その子供がいながらつき合ってる若い女にそういう話もしちゃうわけ?

 ……義樹のほうでは私のことはどういう扱いなのかなって、たまに奥さんの話とかをされちゃうとどうしても考えてしまう。

 それでもそういう風に奥さんについて知ることができたら、ばれないためにはどう対策するのがいいのかもわかりやすいし、聞くことにしている。
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