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蜜会
第3章 溢れる
 食べ終わると、安宅さんは「座っていなよ」と食器を全部シンクに下げて、空になった箱や紙袋も折りたたんで始末してくれた。

 家でも食後は後片付けをしてるのかな、とその後ろ姿を見ているとさすがにちょっとだけ、緊張してきた。

 安宅さんはどうなんだろう。

 こういうこと……女の人の家にこっそり来るのって慣れているのかな?

 私がそんなことを考えてるなんて知らないであろう彼は窓のそばまで行ったら外を見て、「ま、二階だし、大丈夫だろうけど」とカーテンを閉めてしまう。

 しゃっ、という音とともに薄暗くなった室内。

 ローテーブルの前に座ったままの私の横に戻ってくると安宅さんは「おいで」と私の腕をつかんで立ち上がらせ、すぐそばのベッドに座り直させた。

 狭いワンルームだとご飯からベッドまでが短い距離でいいかも、と思う。


「瑠璃ちゃん」


 優しく名を呼ばれ、また私は安宅さんの腕の中に抱き寄せられる。

 服から香る洗剤のいい匂いがして、この前のキスを思い出しちゃった。


「今日は、電話が鳴っても出ないよ」

「私も」


 お互いいたずらっぽく笑うと、何か言われたわけでもないのに私は目を閉じ、そこに安宅さんはもう当たり前のようにキスしてきた。

 やっぱり、安宅さんの唇はすごくいい。

 これだけキスから期待できるほど相性のいい彼氏って、今までいなかったな。


「今日はスカートなんだね」


 この前のようにそっとではなく、しっかりと私の胸を揉みながら耳元で囁かれた。

 円を描いて寄せ上げるように両手のひら全体で揉み、ときどき先端部分を指先でちょいちょいと擦る。


「この前は、家に帰るだけだったから……」


 手と胸の間にはカットソーとブラがあるというのに、指を左右に早く動かして先端あたりを刺激されると、またあの下着の奥が熱くなってくる感覚がやってきた。両胸の先端が硬く勃ち上がるのが自分でもよくわかる。

 私、知らなかったけどけっこう胸で感じるほうだったんだ。

 気持ちよくて、呂律が回らずちゃんと喋れていないような気がする。

 はぁ、って息を漏らすと、また唇をねっとりした熱いキスでふさがれた。
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