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蜜会
第3章 溢れる

その駅前のデパートがどうのとか、ご飯を食べながらいろんな話をして、安宅さんがわざわざ探して買ってくれたデザートの箱を開けると、何て偶然なんだろう。
安宅さんが選んだのは、今が最盛期であるつやつやのイチゴを使ったタルトだった。
この前のことを思い出して一瞬だけ複雑な顔をしたので「嫌い?」と心配そうに顔を覗き込まれた。
「ううん、違うの。実はね……」
祐一にムカついてそのまま別れた話をしたら、「あらあら」と芝居がかった口調で安宅さんは箱を開いてお皿にケーキを乗せた。
「ま、タルトに罪はないでしょ?」
「うん、すごくおいしそう」
実際、食べてみたら生クリームもしつこくないし甘酸っぱいイチゴも贅沢にたっぷり乗っていて、素直に「おいしい!」って声が出ちゃうくらいだった。
ああ、こういう安上がりなデートで全然、幸せ。
私はグルメでもセレブでもなんでもないから、ホテルでシェフの挨拶なんかいらない。
祐一は自分の作っているイチゴにこだわりがあって、だからよそのイチゴは食べない。
作り手としてそういう感覚も必要なのはわかるのだけど、ちょっと、一緒にいてそういうところもめんどくさかった。
安宅さんが選んだのは、今が最盛期であるつやつやのイチゴを使ったタルトだった。
この前のことを思い出して一瞬だけ複雑な顔をしたので「嫌い?」と心配そうに顔を覗き込まれた。
「ううん、違うの。実はね……」
祐一にムカついてそのまま別れた話をしたら、「あらあら」と芝居がかった口調で安宅さんは箱を開いてお皿にケーキを乗せた。
「ま、タルトに罪はないでしょ?」
「うん、すごくおいしそう」
実際、食べてみたら生クリームもしつこくないし甘酸っぱいイチゴも贅沢にたっぷり乗っていて、素直に「おいしい!」って声が出ちゃうくらいだった。
ああ、こういう安上がりなデートで全然、幸せ。
私はグルメでもセレブでもなんでもないから、ホテルでシェフの挨拶なんかいらない。
祐一は自分の作っているイチゴにこだわりがあって、だからよそのイチゴは食べない。
作り手としてそういう感覚も必要なのはわかるのだけど、ちょっと、一緒にいてそういうところもめんどくさかった。

