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蜜会
第2章 湧き出す
「すごいなぁ、高級ホテルで誕生日パーティか。で、ほんと、どうするの?」

「だから、どうするも何も、ですよ。正直、やっと農林の仕事がわかって面白くなったんです」


 肝心の私に結婚願望がないのも困ったもので、もう二十六なんだからと母親が最近うるさい。

 祐一が資産家である話なんかしたら大変なことになるから、今回の帰省でも黙っていた。

 農家さんの仕事をバカにしてるのではなく、こんな中途半端な仕事しかまだできていないうちに家庭に入って、ただ十二月から五月までびっちりハウスでイチゴを育てろと言われても、もったいないと思えてしまう。

 まだまだ、勉強したいことが多い。

 だから、辞めるつもりはないのでこれ以上は付き合えないかなと思っている……と話したら車がちょうど赤信号の交差点で停車し、安宅さんは私を見て、さっきまでの笑顔じゃなく真面目な顔をした。


「……瑠璃ちゃんは真剣に勉強して仕事を頑張ってるんだね。さっき、公務員はいいねなんて軽く言って悪かったよ。ごめんね」

「そんな!」


 安宅さんの「ごめん」がすごく真摯だったので、また私はドキっとした。


「ううん、そんなふうに頑張ってる役所の人って俺たちは普段あまり見られないからね。瑠璃ちゃんと話すことがなかったら、俺は『公務員は全員、仕事をたいして真剣にしてない』って偏見をずっと持ったままだったかもしれない。ありがとう」

「確かに……いろんな人はいます。でも、『だから公務員はだめなんだ』って思われたら悔しいし、『女だから適当に仕事して、そのうち結婚するんだろ』ってふうに見られるのはもっと、絶対いやなんです」

「うんうん。頑張ってる女性はいいね」


 こんな風に、民間の人に見てもらえることなんてめったにないというのもあるけど、なんだか「安宅さんという男の人」が私をきちんと評価してくれたのが嬉しかった。
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