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埋み火
第2章 熾し火
「でも……私、寂しいの。土日とか連休も全然、話せないし、チャットもくれないし」

「しょうがないだろ、土日は。せっかくお前も自由になったんだから、街に行ったり友達と遊べよ」


 同世代の友人たちはみな、夫や子供がいてゆっくり会うこともなかなかできない。

 自分も主婦だったからわかる。

 出かけられたとしても、夕方が近づけば帰りの時間を気にしてそわそわしだすものだ。

 そして気晴らしに街へと出れば、すれ違う男のシャツから博之と同じ匂いがしてよけい寂しくなるし、博之の勤めている社名の入った商品や広告をあちこちで見かけるたびにいろいろな思いを巡らせてしまう。


「わかった……でも」

「なんだ」

「いつも電話も十分だけじゃない。それすらかけてくれないことが昔より多いわ」

「家までがそれくらいなんだからしょうがないだろう。かけられる状態じゃないことだってあるんだから」


 博之は家から駅が遠く、バスなどもダイヤが不便なため飲み会のときは、妻が駅にもう一台の車で迎えに来るらしい。

 そんなときや、夫婦で出かける際は博之はふわっと「今日は電話できないから」と霧子に言う。

 鈍感であれば何も苦しまなくてもいいのに、といつも霧子は夜、その時間になると「今頃二人でいるのね」と時計を見て切ない気持ちになる。

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