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埋み火
第2章 熾し火
 そんな明るい賢治と話したおかげで、今までいじけていたのが嘘のように足取りも軽くなり霧子は博之に「話したい」とだけメールを送った。

 すると夜には帰宅途中の博之から半月ぶりの電話があった。


「久しぶりだな」

「うん」


 いつも博之が霧子と話せるのは、博之が駅を出て駐車場に着き、そこから家に運転して帰るまでの十分だけだ。

 かすかにウィンカーやギアチェンジの音が聞こえた。


「昨日から頭が痛くて、だめだ」

「ああ」


 また「いつもの」だ。

 疲れがたまると博之は電話もメールも口調が投げやりになり、家でも寝てばかりらしい。

 まだ火曜なのに金曜まで大丈夫なのだろうかと霧子は心配になった。


「昨日も今日も電車が人身でかなり遅れてさ、通勤だけで疲れて何もできねえよ」

「そう。……ねえ、私、有給少ないし、日曜はやっぱり東京には来られない?」

「言っただろ、無理だ」

「……わかってるけど」

「俺はどんなに頑張ってもふた月にいっぺんくらい、平日しかお前に会えないよ」


 苛立ちすら感じられる、疲れの濃くにじんだ声の博之と話していると、霧子は「やっぱり、電話なんかしないほうがよかった」と思い始めた。
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