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埋み火
第1章 忍び火
「太い」「硬くていい」と霧子はいつも博之の陽物を褒めるが、以前は「どうせ、お世辞だろう」と自虐的に思っていたほどには自信がない。

 包茎ではないものの長さもさほどないし、持続時間も短いから女を満足させてやれてきたとも思えない。

 実際、他の誰にもそのような褒め言葉はもらったことがない。

 ところが霧子は博之に抱かれると「こんなになるなんて、はしたなくていや」というほど濡れ、感じて悶える。


「んっ! むぅん! んあぁ!」


 博之は少し快感に慣れてきたので力強く腰を振って奥まで楔を打ちはじめると、クッションに顔をつけて霧子が悲鳴のような声を上げ続けた。

 ところがそれが一瞬やんだかと思うと、いたずら心なのだろうか。

 ただでさえ締まっている肉がきゅうっとさらにキツくなり始めたため博之は慌ててまた浅いピストンに戻した。


「お、おい、きり。締めるな! 出ちゃうだろ!」

「うぅン……うふふ」

 今まで力を入れていなくともあの締まり具合だったのに、「それ以上」が霧子にはある。

 さらに早くなってしまうからやめろといつも言うが、内心はそれが来るのが楽しみでしかたない。

 博之を気持ちよくしてやるために、そのような趣向をこらしてくれた女は今までいなかった。

 自分が早いことを恥じていたため、あまり女のほうでも積極的にはなってくれなかった。


(俺、恵まれてんなぁ)


 人生、運がいいのか悪いのかさっぱりわからない。

 しかし、霧子と出会えたことは間違いなく幸せだったと思える。

 体の相性もだが、一緒にいて肌を合わせていると、本当に心が安らぐ。
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