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埋み火
第1章 忍び火
「もう、動いていい? ……そろそろ、したい」

「うん、いっぱいして」


 また霧子が股の角度を変えて、博之のピストンを受け入れやすい体勢をとる。


(少しずつ動かそう、気持ち良すぎてだめだ)


 腰を動かし始めると、霧子の膣内がたちまち博之自身に吸いついて深く咥えこもうとしてきた。


「うっ、あぁ……やべぇ、本当に絡みつくよ」

「あン、ン、ひろ、いい……」


 別れた亭主は、霧子の体がこれほどまでに具合がよいのを知らなかったのではないか。

 初めて抱いたとき、あまりの良さに一分も動かないうちに射精してしまった。

 慌てて引き抜き、霧子の腹にどくどくと精を放ったので博之も、自分の上に放出された霧子も双方「え?」と声を上げて驚いた。

 以来、デートの前夜にトイレで自慰をして臨むという若い男のような情けない工夫をしている。

 そんなことをしても結局は霧子の具合のよさにこうして骨抜きにされ、二日間のデートで三度も四度も射精できるのだから、ここ数年の性欲がほとんど失せていた自分は何だったのだろうと不思議に思う。


「……はぁ」


 博之は大きく息を漏らしたかと思うとにゅるん、と突然ペニスを引き抜き、それまであえいでいた霧子が驚いた。


「だめだ」

「え?」


 汗ばんだ顔で息も荒く、博之は霧子の上で動きを止める。


「気持ちよすぎて出ちゃいそうだから、休む」

「ちょっと。抜かないでも、さっきみたく動かなければいいじゃない」

「無理。きりのアソコ、ねっとりしててニュルニュル絡みついてくるんだもん。いま抜くのだって、吸い付いてなかなか離してくれなかったんだぞ」

「ええ……」


 明らかに霧子は物欲しげな顔をしており、挿入を中断されて不満そうだった。


「しょうがないだろ、今入れたらすぐ出しちゃうんだから」


 会うのを重ねるごとに、それなりに博之の愛撫も上手になって霧子のどこが感じるかを把握していったが、霧子のからだはどんどん博之に開発されて感度が上がり膣の蠢きも増えている。

 いつまで経っても、この具合のよさには慣れない。
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