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埋み火
第1章 忍び火
 ぴちゃ、ぴちゃとかすかな音を立てて霧子の柔らかい唇を舐めながら博之はキスを繰り返し、どんどん吸う力を強めていく。

 呼応するように霧子が唇を少し開くと、そっと博之の舌が入り込んできた。

 決して乱暴にこじ開けることをしないままにセックスまでつなげてくれる博之の優しさが好きで、身を任せているとまた愛おしさと疼きがこみ上げる。


「ナマ足じゃん」


 唇を離したかと思うと膝丈の薄いチュールスカートをまくり上げられ、ふとももを博之に軽く撫でられただけで霧子はそこから内奥部へ電流を流された気分になる。


「だって、暑いもの」

「そうだな」


 下着が見えそうなほどさらに手を遡上させながらまた博之は口づける。

 夕方のニュースで女性アナウンサーに読み上げられる原稿にかき消されるようでいて、優しく唇を吸いあう音はしっかり互いに聞こえている。

 ふたりの体の隙間で博之は頬に添えていた手を下におろし左胸に触れた。

 ごつごつした手が霧子のほどよく盛り上がった柔らかいDカップを優しく包み込むと、霧子はもう我慢できないとばかりに自分からも舌を入れた。


「んッ……んん……」

「ふぅ……」


 博之の舌をとらえ、絡めたり歯茎を舌先で舐め回すと、鼻先で感じていた博之の呼吸が少し荒くなった。

 胸に優しく触れるだけだった指先に力がこもってブラウスに食い込む。

 キスだけでこんなに感じてしまう自分に霧子もまた最初は驚いたものだが、いちど抱かれてからは「キスのあとには必ずもっと蕩けるセックスがある」と体が覚えこんでしまい、いっそう唇を重ねるだけで「このあと」を予想するようになった。
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