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埋み火
第1章 忍び火

それは博之も同じで、初めて霧子にエレベーターの中でキスしたときは「こんなに柔らかい唇があるのか」と驚いた。
そして「初回のデートで最後までするつもりはないから」と前々から言っていたのに、部屋に入るなり我慢できなくなってしまいベッドに押し倒した。
とにかく、目の前にいるこの唇の持ち主が欲しいと思った。
性欲の強い二十代のころにも、ここまでの渇きは記憶がない。
霧子を抱いているときは仕事に疲れたサラリーマンでも家庭で居場所のない父親でもない、ただひとりの男に戻れた気がしてならない。
結婚して高校生になる子供もいる博之だが、さほどセックスしてきた人数もいなく妻との性生活も満たされてきたわけでもない。
霧子と不倫しはじめてから、こんなにも女性とのキスだけで幸福を感じている自分に驚き、霧子を抱きしめて舌を絡めあっているだけで腰が抜けそうなほどの快感に襲われる。
数か月に一度しか会えないこの遠方の恋人を抱いているときは、何か自分の中の大昔に忘れてしまったものが再び燃えるような気がする。
そして、自分のような男に霧子はもったいない、幸せになってほしいと思いながらも会うことがやめられない。
霧子の今後を思えば突き放してでも別れたほうがいいのだが、他の男に譲りたくないという身勝手な子供じみた独占欲を抑えられない。
そして「初回のデートで最後までするつもりはないから」と前々から言っていたのに、部屋に入るなり我慢できなくなってしまいベッドに押し倒した。
とにかく、目の前にいるこの唇の持ち主が欲しいと思った。
性欲の強い二十代のころにも、ここまでの渇きは記憶がない。
霧子を抱いているときは仕事に疲れたサラリーマンでも家庭で居場所のない父親でもない、ただひとりの男に戻れた気がしてならない。
結婚して高校生になる子供もいる博之だが、さほどセックスしてきた人数もいなく妻との性生活も満たされてきたわけでもない。
霧子と不倫しはじめてから、こんなにも女性とのキスだけで幸福を感じている自分に驚き、霧子を抱きしめて舌を絡めあっているだけで腰が抜けそうなほどの快感に襲われる。
数か月に一度しか会えないこの遠方の恋人を抱いているときは、何か自分の中の大昔に忘れてしまったものが再び燃えるような気がする。
そして、自分のような男に霧子はもったいない、幸せになってほしいと思いながらも会うことがやめられない。
霧子の今後を思えば突き放してでも別れたほうがいいのだが、他の男に譲りたくないという身勝手な子供じみた独占欲を抑えられない。

