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鬼ヶ瀬塚村
第8章 弘子

『けれど、あなたも優子の姉ならあの子をわかってやって欲しいの。悪気があるわけじゃないのよ?ほんの少し好奇心が旺盛で我慢が苦手なの』
弘子さんは茶臼で抹茶の葉を挽き始めた。
シュルッシュルッと耳に心地が良い音がする。
『それから達弘の事だけれど…信人さんに失礼ないかしら?』
『あ…そんな…ないですよ』
弘子さんは挽く手を止めると再びクスクス笑った。
『本当によく似ているわ。わかりました…達弘にも私から言っておきます』
『えッ!?あの…僕は…』
『大丈夫、人間無駄に長く生きると入れ知恵ばかりしたくなるのよ。あの子も身体ばかり大きくて中身が子供なのよ、誰に似たのかしら…?』
弘子さんは軽快に再び茶臼を挽き始めた。
僕の隣で真理子さんは無言のまま自分の折り畳まれた膝を見下ろしていた。
『さぁ、顔をおあげなさい…はいりましたよ』
弘子さんはしなやかな手つきで白い湯飲みに抹茶を注ぎ入れた。
『さぁ、慌てず…じっくりお茶を楽しんで?耳をかたむけて、見つめて、舌で楽しんでちょうだい』
弘子さんは僕と真理子さんの前に湯飲みをゆっくり置いた。
僕の湯飲みは黒く、真理子さんのは真っ白だった。
年代物だと思う。
弘子さんは茶臼で抹茶の葉を挽き始めた。
シュルッシュルッと耳に心地が良い音がする。
『それから達弘の事だけれど…信人さんに失礼ないかしら?』
『あ…そんな…ないですよ』
弘子さんは挽く手を止めると再びクスクス笑った。
『本当によく似ているわ。わかりました…達弘にも私から言っておきます』
『えッ!?あの…僕は…』
『大丈夫、人間無駄に長く生きると入れ知恵ばかりしたくなるのよ。あの子も身体ばかり大きくて中身が子供なのよ、誰に似たのかしら…?』
弘子さんは軽快に再び茶臼を挽き始めた。
僕の隣で真理子さんは無言のまま自分の折り畳まれた膝を見下ろしていた。
『さぁ、顔をおあげなさい…はいりましたよ』
弘子さんはしなやかな手つきで白い湯飲みに抹茶を注ぎ入れた。
『さぁ、慌てず…じっくりお茶を楽しんで?耳をかたむけて、見つめて、舌で楽しんでちょうだい』
弘子さんは僕と真理子さんの前に湯飲みをゆっくり置いた。
僕の湯飲みは黒く、真理子さんのは真っ白だった。
年代物だと思う。

