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鬼ヶ瀬塚村
第3章 優子
久しぶりの家族の再開に少し照れ臭そうな真理子さん。車は路肩の土手に突っ込んだけれど、なんだかんだ言っても優子ちゃんと会えて嬉しそうだった。

『ノブ、乗って』

僕は立ち上がり、助手席に乗った。目の前で荷台の優子ちゃんがニヤニヤしていた。真理子さんにそっくりだった。
真理子さんが苛立ちながらしきりに前方に向かって舌打ちしている。

フロントガラスの向こうを走行する一郎さんの軽トラ荷台、優子ちゃんは小馬鹿にするように舌を出したり、人差し指で鼻を押し上げて豚の真似をしたりしてみせていた。

『あぁ~苛々する!』

真理子さんが優子ちゃんを睨みながら煙草をスパスパ吸う。

『微笑ましいじゃない。僕は一人っ子だったから、なんだか羨ましいよ。弟さんにも早く会って挨拶してみたいね』

『挨拶よりノブは手当てが先でしょーよ!鏡見る?結構目蓋切れてるわよ?それに眼鏡どうするの?ここじゃ眼鏡はすぐには手に入らないわよ』

僕は手の中でくしゃくしゃにひしゃげた眼鏡を見下ろした。真理子さんが僕の28歳の誕生日に贈ってくれた物だった。特注オーダーのイタリア製だったんだ。でも、今は壊れてしまっている。

『また買えばいいじゃない?でしょ?』

真理子さんは簡単によく言えるもんだ。

僕ならきっとそんな風には言わない。きっと眼鏡を修理して、買った時と同じにするよう言うよ。

『ノブ、ほらあれが我が家よお~』

緩やかな坂道をじぐざぐ状に上り、上りついた先が真理子さんの実家"荒岩家"だ。小さな小山の上にあり、その背後に大きな山がある。その山裾が扇型に広がり、荒岩家を守っているように見えた。
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