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鬼ヶ瀬塚村
第3章 優子
山裾に存在すると言うより、近くで改めて見ると山その物が外壁にすら見える。

一郎さんが誘導運転する軽トラを後続しながら僕を乗せたサーフは荒岩家の庭先にある駐車スペースで止まった。

『降りて降りて』

真理子さんに言われて僕は緊張しながら車から外に出る。巨体な門の先に例の赤い瓦の家屋が大地に鎮座している。本当に京都や奈良なんかにありそうな高級旅館のようだ。

僕たち4人は車から荷物をおろし一郎さんを先頭にして門をくぐった。

『あれ?これ…門だと思ったら鳥居なんだね』

僕は頭上をしげしげと見上げた。注意深く見てみると門はとても面白い構造だった。
外からはわからないが、真下に来て頭上を見ると朱色の鳥居が無理矢理木製の柱と屋根部分に埋め込まれるようにして姿を見せているのだ。
まるで鳥居を隠すような奇妙な門だ。

『そ、鳥居なのよ。なんでも昔この辺りはお寺だか神社だかあってさ、それの名残なんだって』

真理子さんが懐かしそうに鳥居を見つめていた。

『真理子ちゃん、信人くん早く早く』

少し先で一郎さんが手招きしている。優子ちゃんはもう先に行ってしまったようで姿はなかった。

門を抜けるとまた同じような庭が広がっていた。
庭には4~5段程の石造りの階段があり、そこから石畳となり玄関へと続く。
開け放たれた玄関の引戸下には優子ちゃんのサンダルが無造作に転がっていた。

『とぉちゃん、帰ったばでなー!』

一郎さんが玄関で泥だらけの靴を脱ぎながら大きな声を上げた。

『真理子ちゃん、信人くん、とりあえず居間でゆっくりしでで?荷物は客室に運んでおぐからね』

一郎さんはそう言って僕らのボストンバッグを両脇に抱えながら長い廊下を歩いていった。
木製の廊下が一郎さんの足音と軽快に比例してキュッキュッと鳴るのは面白かった。
なんだか田舎の家っぽくて僕には単純に新鮮だ。

『いっちゃん、いつも世話焼きなのよ』

一郎さんの後ろで束ねられた髪が、まるで馬の尻尾のように左右に揺れ、やがて角を曲がり消えて行ってから真理子さんはそう言った。

『面倒見がいいんだね』

『んー…ちょっと違うかも…ノブ、とりあえず居間行こう?私くたくた』

『そうだね、じゃあお邪魔しまーす』
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