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鬼ヶ瀬塚村
第19章 あの日
僕は鉛筆を走らせた。涙はとうに乾いていた。

まだやれる。
まだ僕は21歳じゃないか。
俄然まだまだ全然若い、まだまだ余裕がある。
23歳までに大賞を取り、25歳までにデビューすれば問題はないんだ。

誰かが言っていた。
漫画家にも期限があるのだと。23歳を過ぎてろくに賞を取れなければ諦めろ、と。

不意に携帯が鳴った。
僕は振り返る。
ちゃぶ台に乗せた携帯が震えながらアニメのエンディング曲を鳴らしている。真理子さんが勝手に設定したやつだ。

僕は期待した。
もしかしたら編集かもしれないッ!
"すみませんね、印刷会社のミスで、最優秀賞だった君の作品が掲載されなかったんですよ"
そう言ってくれるんじゃないか?そう期待した。

僕は携帯を手に取った。液晶画面には"真理子さん"とあった。

僕は心臓が高鳴った。出るのに躊躇した。恐ろしかった。
きっと真理子さんも少年ステップを見たのだ。そして僕に"ほらね、やっぱり"と言うつもりなのだ。

出ようか出まいか迷っていると、携帯が静かに鳴りやんだ。
ホッとしてちゃぶ台の上に乗せた瞬間、再び携帯が鳴り出した。
開かれたままの液晶画面にはやはり"真理子さん"と表示されていた。

僕は出なかった。

携帯は鳴りやんだ。けど、まるで僕を追い立てるように再び鳴り出した。

そのアニメは大好きだったのに、携帯から軽快に流れるエンディング曲が恐ろしく感じた。
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