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鬼ヶ瀬塚村
第19章 あの日
僕には漫画しか無い。
それしか取り柄が無い。
それがなければ誰も見向きをしてくれ無い。

だから僕は描くしかない。
描く事でようやく存在を許されるのだから。

あれだけチヤホヤされてクラスの人気者だった子供の頃の僕、みんなが僕を好きだと言った。

いつもみんなが側にいた。"漫画家になれよ!""絵描きさんになりなよ!"みんなが僕のその力を認めてくれていた。

勉強が不得意でも、ちょっと冴えなくて運動が苦手でも、彼らは僕を崇めた。

だから、今、それを取り戻す。

僕はアパートの部屋で少年ステップを開き、そして膝から崩れ落ちた。

持っていたビニール袋が皮肉なくらい漫画のように足元へ転がった。

僕の作品はボツだった。

入賞すら、あと一息賞すら、期待賞すらなかった。

単なる編集のダイヤの原石を探す時間を奪うだけのゴミだった。
どこにも僕の作品は紹介されていなかった。

ただただ大きく
"鬼才あらわるッ!!わずか15歳の天才少年ッ!息をのむスリリングな展開ッ!!これは期待大か~ッ!?"
と、見知らぬ少年の漫画を印刷させていた。

最優秀賞作品だった。

絵は…限りなく大学4年の僕より上手かった。
そしてヒロインは…めちゃくちゃ可愛かった。

15歳だった僕のように自分を信じて描いたであろうその見知らぬ少年の漫画に僕は完敗したのだ。
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