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鬼ヶ瀬塚村
第19章 あの日
それを見た時僕は呟いた。

『…終わったな』

呟きは空中分解し、消えていく。
不規則に点滅する安い蛍光灯の下、僕は原稿用紙に手を伸ばした。

何故だかさっきまでは素晴らしい作品で必ずデビューが決まる力作だと思っていたのに…それはどうしようもなくつまらないゴミに見えた。

登場人物も貼り付いたお面のような生気の全くない表情だ。

見せ場で放つ主人公の必殺技も掛け声も、全てチープでくだらないものに感じた。
ヒロインなんて見るも無残なブスだった。
ブスが"負けないで"なんていらぬ応援をしている。

"フッ、その程度か"と不敵な笑みを浮かべる悪役の博士は単なる頭のおかしいオッサンにしか思えなかった。

違う。
こんなのを描きたいんじゃない…僕は…あの頃みたいな…15歳の夏に描いたような、あれを描きたいんだ。

真理子さんがいなくなって漫画は輝きを失った。
ただのゴミの束だ、タダで配ったって誰も読まないだろう。
誰の心も動かさないだろう。
辛うじて近所のおばさんが猫の糞を取るのに使うかもしれない。

猫の糞は動いても、これでは誰の心も動かせない。

僕はそう思った。

慌てて机に座り、僕は震える手でペンを取った。
暗く、もう真理子さんのいない部屋で僕は小さく1人で震えながら漫画を手直しした。
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