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鬼ヶ瀬塚村
第13章 人間道

『ひいおじいちゃんはね、いつも立派な鹿や猪を男集と追い掛け回してね、一番に仕留めてたんだって』
松ぼっくりを目線の高さに持ち上げて真理子さんはそれをじっくり見つめながら言う。
『でね、いつもクニひぃばあちゃんに誰よりも先に獲物を見せてたんだってさ』
『そうなんだ』
『うん、クニひぃばあちゃんは…そんなひぃおじいちゃんが大好きだったんだってさ』
真理子さんは棚に松ぼっくりを戻すと、僕を見下ろしてニコッと笑った。
『でも、死んじゃった』
『………』
雨音が一層激しくなる。外界の音はなく、ただ雨が力強く地面を叩く音だけがする。
『この小屋はね、そのひぃおじいちゃんが建てたんだって。私が手直ししてここまでにしたけど』
『凄いね』
『ねぇ、どうしてひぃおじいちゃんが死んだかわかる?』
真理子さんはくりくりした大きな目を向けたままだ。僕が答えるのを楽しみに待っている。
『病気か何かだったの?』
『違うわ』
真理子さんはボスッと僕の隣へ座った。
腰の下の藁が沈むのがわかる。
そして僕の顔をジッと猫のように見つめる。
『怪我だか…事故で?』
『ハズレね』
真理子さんは僕の額に手を伸ばし、雨水で張り付いた前髪を掻き分けてくれた。
松ぼっくりを目線の高さに持ち上げて真理子さんはそれをじっくり見つめながら言う。
『でね、いつもクニひぃばあちゃんに誰よりも先に獲物を見せてたんだってさ』
『そうなんだ』
『うん、クニひぃばあちゃんは…そんなひぃおじいちゃんが大好きだったんだってさ』
真理子さんは棚に松ぼっくりを戻すと、僕を見下ろしてニコッと笑った。
『でも、死んじゃった』
『………』
雨音が一層激しくなる。外界の音はなく、ただ雨が力強く地面を叩く音だけがする。
『この小屋はね、そのひぃおじいちゃんが建てたんだって。私が手直ししてここまでにしたけど』
『凄いね』
『ねぇ、どうしてひぃおじいちゃんが死んだかわかる?』
真理子さんはくりくりした大きな目を向けたままだ。僕が答えるのを楽しみに待っている。
『病気か何かだったの?』
『違うわ』
真理子さんはボスッと僕の隣へ座った。
腰の下の藁が沈むのがわかる。
そして僕の顔をジッと猫のように見つめる。
『怪我だか…事故で?』
『ハズレね』
真理子さんは僕の額に手を伸ばし、雨水で張り付いた前髪を掻き分けてくれた。

