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鬼ヶ瀬塚村
第13章 人間道

引き戸の下に段差があり、サンダルが並んでいる。
僕は適当なサンダルを履いて裏側へと出た。
『……ッ!』
白いセーラー服の少女がいた。僕に気付き大きく身体をビクつかせた。
立派なしめ縄のような三つ編みを垂らす少女、典子ちゃんだった。
彼女は荒岩家の家屋の壁に並んだ大きな水瓶の前に立っていた。手には木製の柄杓、小さな唇は濡れている。
吾郎さんが言っていた。
"典子には話しかけるな"と。けれど僕は条件反射的に
『水を飲んでたの?』
と訊ねてしまった。
彼女は動かず、不安そうに僕を見ている。
『………あ…あの…』
小さな唇が申し訳ない程度に動いた。
『………田中さ…ん…でずよね…?』
僕は典子ちゃんに近付いた。典子ちゃんはビクッとし、柄杓を水瓶に置く。そして、一歩後ろへ下がった。
『…あの…あの…わたじ………がっごぅが………あの…昼めじで…………だがら………あの………水飲みに………戻っで…だ、だがら……』
『典子ちゃんだよね?』
僕が言うと彼女は再びビクッと身体をひきつらせ
『……ん…んだ』
と、目線を足元へ落とす。睫毛がかすかに動き、黒い瞳が地面を左右に見ていた。
僕は適当なサンダルを履いて裏側へと出た。
『……ッ!』
白いセーラー服の少女がいた。僕に気付き大きく身体をビクつかせた。
立派なしめ縄のような三つ編みを垂らす少女、典子ちゃんだった。
彼女は荒岩家の家屋の壁に並んだ大きな水瓶の前に立っていた。手には木製の柄杓、小さな唇は濡れている。
吾郎さんが言っていた。
"典子には話しかけるな"と。けれど僕は条件反射的に
『水を飲んでたの?』
と訊ねてしまった。
彼女は動かず、不安そうに僕を見ている。
『………あ…あの…』
小さな唇が申し訳ない程度に動いた。
『………田中さ…ん…でずよね…?』
僕は典子ちゃんに近付いた。典子ちゃんはビクッとし、柄杓を水瓶に置く。そして、一歩後ろへ下がった。
『…あの…あの…わたじ………がっごぅが………あの…昼めじで…………だがら………あの………水飲みに………戻っで…だ、だがら……』
『典子ちゃんだよね?』
僕が言うと彼女は再びビクッと身体をひきつらせ
『……ん…んだ』
と、目線を足元へ落とす。睫毛がかすかに動き、黒い瞳が地面を左右に見ていた。

