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鬼ヶ瀬塚村
第13章 人間道

『……わたじと話せば……御咎めを………貰いまず………だがら…あのッ………』
典子ちゃんは瞳を左右に大きく動かし、そして僕を見上げた。
三つ口の唇が震えている。
『…だがら……だ…だがら………その…』
典子ちゃんは再び俯いた。ふと、真っ直ぐに切り揃えられた前髪の奥に何かが見えた。
赤い切り傷のような物だ。
『典子ちゃん、怪我してるの?』
僕は警戒する野良猫に近付くように歩み寄った。
典子ちゃんは顔を赤く染めながら再び瞳を左右にギョロギョロと動かす。
『あの………今朝…転んで………』
前髪を慌てて整える彼女の白い指はよく見ると切り傷痕がいくつかあり、絆創膏も巻かれている。
『見せてごらんよ、消毒はした?』
僕が典子ちゃんに言うと、彼女はビックリした顔で突然僕を見上げた。
『バイ菌が入ると跡が残るかもしれないよ?』
典子ちゃんの顔がみるみる赤くなる。どんどんどんどん赤くなる。
『………あの、わだじ………わだじ………ご……ご…ごめんなざいッ!』
典子ちゃんは前髪を両手で抑えながら後ずさると、あっという間に走って行ってしまった。
『おい』
背後から呼ばれ、僕は振り向いた。
紗江さんがこちらを見ている。
典子ちゃんは瞳を左右に大きく動かし、そして僕を見上げた。
三つ口の唇が震えている。
『…だがら……だ…だがら………その…』
典子ちゃんは再び俯いた。ふと、真っ直ぐに切り揃えられた前髪の奥に何かが見えた。
赤い切り傷のような物だ。
『典子ちゃん、怪我してるの?』
僕は警戒する野良猫に近付くように歩み寄った。
典子ちゃんは顔を赤く染めながら再び瞳を左右にギョロギョロと動かす。
『あの………今朝…転んで………』
前髪を慌てて整える彼女の白い指はよく見ると切り傷痕がいくつかあり、絆創膏も巻かれている。
『見せてごらんよ、消毒はした?』
僕が典子ちゃんに言うと、彼女はビックリした顔で突然僕を見上げた。
『バイ菌が入ると跡が残るかもしれないよ?』
典子ちゃんの顔がみるみる赤くなる。どんどんどんどん赤くなる。
『………あの、わだじ………わだじ………ご……ご…ごめんなざいッ!』
典子ちゃんは前髪を両手で抑えながら後ずさると、あっという間に走って行ってしまった。
『おい』
背後から呼ばれ、僕は振り向いた。
紗江さんがこちらを見ている。

