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愛されたくて ~わたしってイケナイ人妻ですか?~
第11章 マリ…出逢い

歌い終わったあと
マリはマイクをテーブルに置いて
私の顔をじっと見た。
そんなに見つめられると
ドキドキしてしまう。
どうしたらよいのかわからず
私は思わず視線をそらし
うつむいてしまった。
『どう?感想は?』
たぶん…
歌のことを聞いてるんだろう。
だけど…
聞きたいのは私の方だ。
なのに…
言葉にならなくて。
『どうして黙ってるの?
もしかして…
怒ってる?』
首を横に振るのが
精一杯だった。
おそらくマリは
私の心の中を見透かしている。
それをわかった上で
からかってるんだ。
突拍子もない現れ方をして
勝手に腕を引っ張っていったと思ったら
サングラスを外して笑う。
いきなり
そっくりな顔を見せられて
驚かない方がどうかしてる。
いつまでも黙ったまま
そのときの私は
ただ下を向いていることしか
出来なかったんだ―――。

