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愛されたくて ~わたしってイケナイ人妻ですか?~
第11章 マリ…出逢い

マリは
私が聞いてもいないのに
いろんなことをメールしてきた。
自分の生い立ち
仕事のこと
バンドのこと…。
恵まれているとは言い難い
生活環境を知っていくにつれて
だんだんと私は
マリに不思議な感情を抱くようになった。
マリと私
立場は違っても
何かに制約されているという状況は
同じだったから。
話を聞けば聞くほどに
同情みたいな感情が込みあがって
共感できる部分が増えていく。
おまけに
性格や考え方も似ていたから
私がマリに心を許すようになるのに
そんなに時間はかからなかった。
「電話で話してみない?」
すぐに声が聞きたくなってしまうのは
私の悪い癖。
『いいけど、緊張するなー』
と、文字では返してきたものの
マリはすぐに電話番号をメールしてきた。
『もしもし』
数回のコール音の後
聞こえたマリの声は
想像していたよりもずっと高くて
ハスキーな声だった。
「マリ?
声かすれてる?」
『昨日ライブやったからなー』
「ボーカルってことは
すっごく歌うまいんでしょ?」
『じゃあ、聞いてみる?』
絶句する私に
マリは笑った。
『冗談だよ、ゴメン。
ライブには来れないでしょ』
「夜は無理だけど
昼間にカラオケだったら大丈夫♪」
そんなわけで
私はいとも簡単に
マリと逢う約束をしてしまったのでした。

