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愛されたくて ~わたしってイケナイ人妻ですか?~
第7章 京都の彼…出逢い

仕事の内容までは詳しく知らない。
主に京都市内を走っているとしか聞いてなかった。
車の色と大きさがわかっているだけで
本当に逢えるかどうかなんてわからない。
むしろ、逢えることのほうが奇跡だ。
彼と私の間に
運命のようなものが
少しでもあるのだとしたら…
もしかしたら
逢えるんじゃないのかな?
そんな気がして――。
まぁ私の思いつき
占いみたいなもの(笑)
でもね。
何故だかわからないけど
逢えるような自信があった。
必ず見つけてみせるって。
バス会社に勤めていた頃に
何度となく走った京都の街並み。
道は地図を見なくても頭に入っている。
ただ自分で運転するのが初めてと言うだけだ。
五条通りを走行中
信号で停まったときに彼にメールしてみた。
「ほんまに来ちゃったよっ!
けっこう渋滞してるんだねー」
そのメールを見て
私が京都に来ているって
彼が本当に信じたかどうかはわからなかったけれど。
『今、五条堀川や
ここはいっつも渋滞しとるねん
てか、おまえ!
ほんまに京都に来とるんかぁ?』
京都の地図を少し説明すると
碁盤の目のように横と縦に道路が走っている。
五条通りは東西を走る一番大きな通りで
そこに交わる縦の通りの名前を合わせて
信号の名前がついているから
それを聞けば場所がわかるようになっている。
わたしはちょうど
その五条堀川の交差点の手前
数百メートルのところで渋滞で動けなくなっていた。
あともう少しなのに。
彼の車が東向きなら
同じ方向を向いているはずだから
この渋滞の中にいるかもしれない。
前後左右を見てみたけれど
聞いていたような色の車はなかった。
もしも西向きだったら
すれ違ってしまうことになる!
すぐ近くに居るのに!
「私も、もう少しで
五条堀川の交差点だよー
ほんまに来ちゃったし(笑)」
このメールを見たとき
彼はなんて思っただろう?
彼の驚いた顔を想像するだけで
にやけてしまう。
いや、その前に
私は彼の顔をまだ知らないんだけれど(笑)
私が車の中で1人
クスクス笑っているところに
突然、携帯の着信音が鳴った。

