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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第4章 混・乱・事変②
しのは上目遣いで堺を一瞬見るが、瞬きひとつすれば溢れそうに水が盛り上がっていた。
ポトリ、と透明な粒がしののパジャマから覗く膝に墜ちる前に、堺はしのを抱き締めていた。
しのは堺が着ているパジャマの布ごと彼の腕の肉を強く掴み、背中を大きく震わせると、嗚咽を漏らす。
しのの指先で掴まれた腕に鋭い痛みが走り堺は顔を歪めるが、しのはもっと激烈な痛みを堪えている様に見える。
彼女の背中を流れる柔らかい髪をかき抱くようにして、堺は胸に降る熱い涙を受け止めた。
『オリオンのリーダー、美佳原しのです!特技はトランプの神経衰弱!自慢は今まで人前で泣いた事がないって事です――!』
画面の中ではオリオンの華やかな衣装を纏った強気な笑顔のしのがマイクを手にステージから手を振っている。
堺の腕の中の彼女は、小さくてか弱いただの『女の子』だった。
しのが軽く咳き込んで、堺が背中を擦りながら彼女の顔を覗き込んだ時、二人の視線がぶつかり、磁石のように引き寄せられ、絡み合い、どちらからともなく唇を重ね合わせた。
小降りになっていた外の雨が、突然大きな音を立て始めた――

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