この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
熱・愛・契約~熱・愛・事変
第4章 混・乱・事変②
「え……じゃあ」
その話の先を促すのが果たして良いことなのか分からなかったが、ついそう声に出してしまう。
「パパ……ある日ママに向かって凄く大きな声を出して、出ていったの……それから一ヶ月くらい戻ってこなかったわ……私が贈ったパジャマの存在なんて、忘れてしまったみたいに、パパの部屋で埃を被ってた」
しのはまるで絵本を読むような柔らかな声で答えた。
堺は一歩一歩静かにしのの側へ歩み寄る。
しのは泣いては居なかった。だが、テレビに向けられたその瞳の黒目は空虚な穴のように見えた。
「なんだか馬鹿馬鹿しくなって、私、包装紙もリボンもほどいてハサミで滅茶滅茶に切ってやったわ。パジャマも壊してやろうかって思ったけど、なんだか可哀想で」
可哀想で、という言葉まで来て、滑らかだったしのの声が詰まった。
堺はしのの隣に座り、無意識にその手を握りしめていた。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


