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熱・愛・契約~熱・愛・事変
第5章 乱暴でもいいから、奪って
しのは胸元を腕で隠して起き上がり、首を傾げる。
一体彼は何を躊躇っているのだろうか?と思いながら。
――躊躇う?――そんな言葉が浮かんだ事にしのは胸の中がズキンと痛む。彼は迷っている?この期に及んでそういう行為をする事を躊躇しているのだろうか?
彼が自分を抱き締めた時、熱くて荒い吐息からは烈しい欲情が顕れていた筈だった。
なのに、今の彼は牙を抜かれて途方に暮れた狼みたいに心細げに見える。
――このまま、奪って欲しいって思っているのに……何故?……こんな風に思ったのは生まれて初めてなのに……だから私――
妙な沈黙に耐えきれにしのが口を開きかけた時、堺が信じられない台詞を言った。
「く……暗くして、何をするんだい?」
しのは絶句した。

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