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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
 「……キュウ」
「……ごめんね。今まであなたに頼りっぱなしだったくせに……最後の最後でわがまま言って、危ないところに連れてって」
「キュイッ」
子龍が鳴けば、神依はおずおずとした愛撫と共にすまなさそうにそれを謝った。それで子龍も、もう気にしていないと言うように両の手のひらの中で大人しく丸まり、何か良くないものが襲ってきやしないかとキョロキョロと念入りに辺りを見回す。神依もまたその仕草にほんの少しの安らぎを得て、肩の力を抜いた。
 そんな二人の背後では、今まで歩んできた瓦礫の景色が音もなく溶け、その色無き色を闇の底へと沈めていった。二人が振り返ることはなかったが、どちらにせよ、引き返すことはもう叶わなかった。

***

 道はあの固い平らな石が少しずつ風化したようで、土や、萎れたまま活きているような植物の割合が増えてきていた。辺りもおどろおどろしい蔓や葉が建物を呑み、更なる異界の体を成している。土や木々が近いのは淡島に似ているのだが、闇夜ということを除いても、その雰囲気は随分異(い)なるものだった。
 「──わっ」
その途中、子龍ではないが辺りを窺っていた神依は蹴躓(けつまず)いてしまい、土の中に瓦らしきものが埋もれているのを見つける。
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