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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
 確かに……黒いだけだったはずの道は、今は白と黒の縞模様となり別の道への架け橋となっている。縦にも横にも進めるが、よく見ると黒い部分は陥没しており、白い縞だけが底の無い闇に浮かんで跳び石のようになっていた。
(……そっか。白いところだけを歩くんだった)
何故かふとそんなことを思い、けれども妙に納得した神依は、記憶の中で駆けていく童の背を追いながらぴょんと一歩を踏み出す。まずは横へと伸びる縞。
 「キィッ」
「……」
その時、ふと子龍が何かに気付いたように非難めいた声を上げるが、神依はそれを宥めるように手を添えると構わず進んだ。とん、とん、とんと白い縞を渡り切ったところでまた子龍が鳴いて、けれどもまた何も答えず、今度は縦に伸びる縞を渡る。
 振り向けば来た道は遠く、そのままぐるりと周りを見渡せば、その道がまだ明るいものだったことがよく分かった。神依が進もうとしている道は一層暗く、瓦礫の隙間からさえ、固形物に見紛うほどの濃い闇が這い出てきそうな雰囲気だったのだ。
 その先は森か山に続いているようで、空より黒い巨大な影が、猫の背のように丸く踞っている。稜線は長く、またこことは異なる景色が待っているようだった。境界。
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