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恋いろ神代記~縁離の天孫と神結の巫女~
第21章 まもなく境界線に、電車が参ります
もしそのせいで、少女がこの黄泉国から逃れ得ないのだとしたら。もしこの闇の向こうで何者かが、少女の首に巻かれた紐を牽いているのだとしたら──。
「……」
その光景を思い描いた男の背に、それを責めるように悪寒が走る。背を通る骨を刃で縦に裂かれたような、鋭い電流。
男は背後の闇が、自分達を覗き込んでいるような気がした。
「神依様──やはりどちらかの証が立つまで、こちらにお泊まり下さい。貴女様のお世話は女達が心を尽くして参ります。お望みのものは、我々が必ずや──」
「……ううん。……いいの」
男は慌てて神依を引き留める文言を紡ぐが、けれど目の前の少女は一度目を閉じ深呼吸すると、何の躊躇いもなくはっきりとそれを告げる。
「それでも、会いにいきます。両方」
「神依様……」
その再び開かれた瞳には意志が宿り、それを表すかのように、室内のわずかな光が点々と映っている。
「心配してくれてありがとう。でもそれが日嗣様の姿をしているなら……きっと、私に取っても意味があることだと思うんです。だから、行きます」
「……」
男はしばらく沈黙を保っていたが、ややあって、その意志が揺らがないことを悟ると静かに頷いた。
「……」
その光景を思い描いた男の背に、それを責めるように悪寒が走る。背を通る骨を刃で縦に裂かれたような、鋭い電流。
男は背後の闇が、自分達を覗き込んでいるような気がした。
「神依様──やはりどちらかの証が立つまで、こちらにお泊まり下さい。貴女様のお世話は女達が心を尽くして参ります。お望みのものは、我々が必ずや──」
「……ううん。……いいの」
男は慌てて神依を引き留める文言を紡ぐが、けれど目の前の少女は一度目を閉じ深呼吸すると、何の躊躇いもなくはっきりとそれを告げる。
「それでも、会いにいきます。両方」
「神依様……」
その再び開かれた瞳には意志が宿り、それを表すかのように、室内のわずかな光が点々と映っている。
「心配してくれてありがとう。でもそれが日嗣様の姿をしているなら……きっと、私に取っても意味があることだと思うんです。だから、行きます」
「……」
男はしばらく沈黙を保っていたが、ややあって、その意志が揺らがないことを悟ると静かに頷いた。

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